学生時代の終了が現実として見えてくると、自分の仕事(職業)をどうしようか、という悩みに直面することになります。
本来、大学などはやりたいことを勉強するために行くはずだったものが、とりあえず大学は出ておけ…とか、今どき大卒じゃないと…とか、もしくは友達が行くから私も…、というような動機で何となく入れるところに入ったという人も多いと思います。(良し悪しはともかくとして)
結果、就職先もやりたいとかそういう事とは関係無く、入れる会社に入ったパターンであったり、給与面を考慮して選択したり、という事も多いと思います。
では、憧れた業界に入ったとしたらどうだったのか。
自分の経験を元に、少し書いてみようと思います。
(あくまでも個人の主観によるもので、更に特定の業界に限定しています)
私の場合
私は大学を卒業するまでの学生時代全体を通して、概ね音楽活動に打ち込んでいました。
大学でも専攻は音に関するものでしたし、勉強というよりは実務寄りの経験を多く積ませてもらいました。
ただ、当時は自分が音楽を仕事に出来るとは思ってもいなかったですし、地元の入れる企業に何となく就職して、バンド活動などをふわふわ続けるのだろうな~と考えていました。
ですが、たまたま機会をもらうことがあり、紆余曲折を経て、プロの現場に放り込まれることになります。
音楽活動をしていた者からすれば、プロの現場に入るということがどれほどの大事件であることか…。
結果的に、運良く(運悪く?w)そのまま10年以上居座ることになっていますが、ある程度の時間をその世界で過ごしていると見えてくるものがあります。
そのくらいの年月を過ごすと、もはや憧れではなく、日常になってしまいますから…。
若者の誤算
まず、こちらの業界を志望する若者たちは、大いなる憧れと希望を胸に抱いて、スタジオのドアを叩くことになりますが、その裏には、給料なんて気にしない!現場に入れさえすれば、俺は(私は)やってやるんだ!という気概を持っている事が本当に多いんですね。(自分もそうでした)
でも、そんな若者たちでさえ、まずスタジオ内での作業を目の当たりにして、半数以上が心を折られてしまいます。
スタジオでの毎日は、ひたすらバタバタしていて、それでいて結構地味です。
もちろん、アーティスト本人が横に居るのですが、本当に地道に一つ一つこなしていくだけなのですね。
OKが出るまで録音は繰り返えされますし、例えば歌であれば、ピッチはもちろん、一文字単位でのタイミングや音量の上げ下げをひたすら行う。などなど。
本当に細かい作業が他者のペースに合わせる形で延々と続きます。
強い思い入れがある人ほど、これで心を折られて辞めてしまいます。
(過去には、朝やって来て、お昼の時間に逃げた人もいましたね…)
しばらく続けていると、俗世と乖離してくるような錯覚を覚えて怖くなることもあります(笑)
憧れの業界で働くということ
そういった状況では、すぐに辞めてしまうから給料も最低限のラインでしか募集が出せないんだ、という言い分で、毎年毎年上記のような気概を持つ若者を採用しては散らせてしまう悪循環が発生している業界ですが、このような状況を私はやりがい搾取ならぬ、憧れ搾取と呼んでいます。
当然ではあるのですが、外からの見え方と内側とでは、かなり現実が違って見えがちです。
「憧れ」が強すぎる場合の弊害でもありますよね。
華やかな世界ほど、裏側では…というのは実際にそうだと思います。
ただ、そのような内情がどうあれ、それでもCDショップなどへ行くと、お店に入ってすぐのところには、自分の名前がクレジットされた作品が新譜として陳列されていたりするわけです。
このときの気持ちとの折り合いが非常に難しいんですね。
こうした部分を考えてみると、業界に入った若者に対しては憧れ搾取を行い、その後、生き残った人たちにはやりがい搾取が行われているんですよね…。
クライアントに値切られるのは当たり前。
ボーナスなんて、そんな余裕は一切無い。
さっさと見限って離れてしまえば幸せなのではないか?と考えたりもします。当然ですよね。
でも、私も強めの憧れを持って居たがために、上記した気持ちが結構邪魔をしてきます…。
(家族が居るという部分も大きいですが。。)
どのような業界であっても、自分が満足していればそれでOKなのは真理だと思いますが、多かれ少なかれ搾取の対象になっているのが現状です。
それゆえに「嫌なら逃げても良い」という言葉や、「やりたいことだけやれば良い」という風潮が強まっているのだと感じています。
とは言え、みんながみんな逃げたり辞めたり出来るわけではないですし、それはまだまだ成り立たない状況だと思います。
私で言えば、憧れた業界に入って生き抜いてきてしまった事で、なかなか手放せない部分があるのが本当のところです。
仕事を効率的にお金を稼ぐ方法として考えた場合、こういった憧れのようなものは邪魔にしかならない事が多いという実感があります。
方向転換もやりにくくなりますしね…参ったものです。。
なので、憧れの業界に行くというのは、本当に「やり通したい事」でなければ、中の人としてはおすすめ出来るものでは無いと感じています。
特に、芸能周りは人の入れ替わりも激しいですし、概ね似たり寄ったりではないかなと。。
私自身としては、やはり悩ましいですねぇ。。
踏ん張りながら改善していけると、気持ちとしては一番良さそうなんですけど…(笑)
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